第17回全国大会進出店舗及び優秀店長事例発表の選出理由について
【第17回全国大会進出5店舗選出理由】
◆関東第1地区 東京都《ろばた翔》
【「共に生きるよろこび」属人性を強みに変える究極の個店経営!】
お客様、スタッフ、生産者様…。店にかかわるすべての人を大切にする経営で坪月商平均72万円を達成。オープンから12年で内装も業態も変えることなく客単価が3500円から倍の7000円に移行しており、顧客満足度を下げることなく高価値の経営を実現している。属人性をとことん大切にする究極の個店経営といえる取り組みの数々が高く評価されました。
接客ではお客様のその日の体調や心境にも配慮する「一人百色」接客、お客様同士やスタッフを積極的に紹介し合うマッチング接客を実践。「して差し上げる接客」は当たり前と考え、「お客様もスタッフも一緒に楽しむ接客」を大切にしている。お客様と仲良くなるからこそいただける「労い乾杯」も月600杯に達する。
スタッフ採用では、お客様に「一緒に働きませんか」と声をかける「一本釣り採用」でこれまで100名以上を採用。仕入れに関しては創業時から1商品1業者を目指して各地の生産者をめぐる全国行脚を行い、現在の取引業者は80社に。世界一、人が集まる新宿で、店にかかわるさまざまな人から応援され、愛される店になっており、飲食業の原点を感じさせてくれる。また、常に自店の現状を客観的にしっかりと分析。一時的なトレンドなどに流されることなく、導入期、成長期、成熟期、衰退期という店舗成長サイクルのフェーズごとの的確な取り組みを実践し、業績を伸ばし続けている点も高く評価され選出されました。
◆関西第2地区 京都府《学生が週2で通える焼鳥屋 乾杯酒場アホウどり聖護院店》
【理念共感から理念共鳴へ!「伝える」ではなく「伝わる」人材育成術】
来店客の半分以上が「名前で呼べる常連客」の日もあるほど、多くのリピーターを獲得している。その秘訣となっている「理念共鳴」の人材育成術が高く評価されました。
「オモシロキ コノヨヲモット オモシロク」という理念を掲げ、「BE AHOU(アホであれ)楽しくやる」ことをモットーにしたスタッフ教育は、紙芝居を使って店のコンセプトなどを伝えるユニークな面接からスタート。この面接から理念浸透が始まり、マニュアルを叩き込むのではなく、自分ごととして捉えることのできるストーリー理解に焦点を当てた人材育成で、理念に共鳴したスタッフが活躍するチームづくりを行っている。
スタッフは日々の営業の中で、「笑顔で元気よく挨拶している」、「自分を愛し周りを愛している」、「お笑いが大好きである」、「今に感謝、すべてに感謝している」などの「アホ人11箇条」を実践。それによって誰からも応援される人(アホ人)になることが、お客様に「また会いに来たよ」と言ってもらえる接客力を身に付けることにもなっている。
『大事なのは打率より打席数。行動しない「かしこ」より行動できる「アホ」になれ』というメッセージとともに、挑戦することの大切さも伝える店づくりが高く評価され選出されました。
◆関東第1地区 東京都《渋DRA》
【人を輝かせるDREAM ON流・デジタル活用術】
デジタル化によって人間力を失ってしまうのではないか…。今、そんな不安が居酒屋業界にある中で、人を輝かせるDREAM ON(社名)ならではのデジタル活用術の取り組みが高く評価されました。
モバイルオーダーの中にスタッフの自己紹介ページをつくって以前よりも会話が弾むようにし、モバイルオーダーであっても「スタッフ打ち30%」を心掛けるなどして人間力とデジタル化を融合している。
「ありがとうコイン」の取り組みなどでESの向上にもデジタルを効果的に活用。【行動力70の質問】のデジタル自己チェックシートでは、毎月全スタッフにURLが送信され、自己チェック後に送信。そのデータを元に店長が面談することでコミュニケーションの量が増え、離職率を減らすことにも成功している。スタッフがいつでも見ることができるYouTubeを使って価値観共有を促進し、動画配信によるレシピ共有やマニュアル共有で教える人による教育のムラも改善した。
また、モバイルオーダーに搭載されている「投げ銭」機能の活用で、スタッフをより輝かせることができるチップ制度も導入。デジタル活用で人間力を最大限に引き出す再現性の高い仕組みを、数多く作り出している点が高く評価され選出されました。
◆北海道地区 北海道《港町酒場もんきち商店桑園店》
【1次・2次・3次産業を一気通貫!飲食業界の多様性を感じさせるビジネスモデル】
同店を経営するLAUGHGROUPは、「OCEAN TO TABLE~海から食卓まで~」をコンセプトに、魚の買付・荷受・加工・物流・小売・外食に加え、生産現場にも参入。水産現場における1次・2次・3次産業を社内にて一気通貫させた。こうした取り組みを軸に、未来に向けたビジネスモデルを構築し続けている点が高く評価されました。
子供からお年寄りまで、生涯に渡っておいしい魚で豊かな食を楽しめる社会状態を作りたいという信念の元、「未来にツナグ」という志を漁師のパートナーと共有。漁師は決して「安さ」だけでは選ばない。また、魚が獲れなくなるといわれる2048年問題に向けた取り組みも実践。飲食店は「海を伝えるメディア」と考え、さまざまな魚の魅力を伝えるとともに海産資源のSDGsも啓蒙し、「札幌市SDGs総合受賞」を飲食店として初受賞した。
全てのベースにあるのは企業理念の「いつもあなたの笑顔のそばに」。
魚の生産から販売まで一気通貫させる取り組みは、飲食店の仕入れ力を向上させる強いビジネスモデル、企業体質をつくることができる。SDGsの取り組みによって、社会課題への意識が高い若い世代の人材も獲得に成功。さらに、1次・2次・3次産業の多様な職場があることで、年齢やライフスタイルに合わせた働きやすい環境づくりも高く評価され選出されました。
◆北陸甲信越地区 長野県《やきとり番長 松本つなぐ横丁店》
【人時売上高1万円超え!来たるべき時給3000円時代に向けて】
未来に向けて生産性の向上に注力。横丁内の7坪の店で人時売上高1万円越え、坪月商最高90万円を達成している。働き方改革(店磨き)×人財育成(人磨き)=働きがい革命(多幸感)と定義。この働きがい革命によって、「100年先までこの素晴らしい居酒屋文化を伝えたい」という思いを形にした取り組みが高く評価されました。
作業動線の効率化や、役割分担の可視化を徹底。朝礼時にも当日の作業を明確化して、生産性を向上している。整理整頓などの当たり前も徹底して「1秒もムダにしない」現場力を磨き、その分、お客様と向き合える時間を増やして顧客満足度も高めた結果、人時売上高は週末1万2000円(2024年6月時点)と大幅にアップ。メニュー構成の見直しとともに、社内アプリを活用した情報共有などでスタッフの意識が向上したことも業績アップにつながった。
さらに、開店前の仕込みや準備は2時間、閉店後の片付けなどは1時間という「2H1Hルール」の徹底で、残業時間を削減。同時に仲間を大切にする文化も醸成している。
生産性を向上しながら、「ありがとう」というプラスのマインドが溢れる店舗にするための取り組み、仕組みづくりも実践している点が高く評価され選出されました。
【第17回優秀店長取り組み事例選出理由】
▼愛媛県
『夢の家 本店』
井上 杏奈 店長
―「学生アルバイトが自ら行動するチームで売上昨対129%、営業利益率33%を実現」―
会社の経営計画書「赤本」、新人教育プログラム「黄色本」を徹底的に活用し、学生アルバイトが成長し、自ら行動するチームづくりに成功。
「お客様の来店動機や利用回数を100%伺い、お客様に合ったオンリーワンの接客を店舗全員で実施」
「トイレチェック、おしぼり交換、灰皿交換、お見送りなどの当たり前の徹底」
などにより、お客様満足度を向上させ、リピーターを獲得。
「売上昨対129% 平日2回転 週末2.5回転」の繁盛店をつくりあげた。
また、お会計やお見送りの際にお声がけし、
「googleコメントを年間137件獲得し、評価4.3→4.5へ」
「アルバイト10名中7名が紹介」と、リファラル採用にも成功している。
夢の家本店と出会った仲間やお客様の人生を変える、夢と感動が溢れるお店にしたい、という想いで、アルバイトスタッフと共に、社内イチの繁盛店を作り上げた井上店長の姿は、多くの気付きを与えてくれると期待し、選出させて頂きました。
※基本情報:60席/33坪/客単価4,500円/駅徒歩15分
▼福岡県
『異酒屋 陽溜食堂日吉町店』
最所 崇将 店長
―「スタッフを巻き込み売上昨対114%でアルバイト時給10%アップを実現」―
「理念浸透を中心としたスタッフ教育」に加え、
「月替わり高単価商品の提供」
「毎日の目標設定シートの活用」
などにより、
「客単価250円アップ」
「売上昨対114%」
「営業利益率8%アップ」を実現。
その結果、「アルバイトスタッフの時給10%アップ」をも実現している。
創業店の閉店を経験し、苦しみながらも、理念である「お客様に元気注入」に立ち返り、アルバイトスタッフを巻き込みながら、沢山のツールを現場で活かしきり、店舗改善を実現した最所店長の姿は、多くの気付きを与えてくれると期待し、選出させて頂きました。
※基本情報:60席/38坪/客単価4,200円/駅徒歩15分
以上